Life, Work, Masterpieces
English  日本語
 
版作成工程

先ず主版になるプレートのプレパレから始める。岩谷はロッカーをほぼ垂直に立て圧を加えて前後に揺する。この作業により版上に微細な穴をうがつ。この微細な穴は肉眼で見るのは困難である。これは長い単調な作業なので岩谷は1日2時間を限度とする。しかしこの作業は慎重に進められなければならない。



このロッカーによるプレパレは小さい版で2時間,大作,60cmx70cmで2ヶ月かかる。この単調な時間を岩谷は近くに置いてあるコンポネントでその時の気分によりクラシック,シャンソン,アルゼンチンタンゴ,モダンジャス゛民族音楽などを聴きながらやるのが好きである。又単調な作業は瞑想に非常に良い。ロッカーによるプレパレが終わると下絵にしたがって微細な穴の集積である黒部を削り磨いて多種な諧調をつくる。この工程のミスの修正はかなり難しいので細心の注意を払わねばならない。若しミスのでた時はまずドライポイントでそれでだめならばスモールロッカーをかけてから修正する。



原則として1版1色であるが必要ならばマキシ4版,8色使うことも可能であるが簡潔も作品の魅力をつくる重要な要素である。黒版を主版といい通常最後にプレスを通す。1版の中に数種の色を使いたい時はたがいの色が混ざり合わないように注意が必要である。
製版と印刷の両工程において複数の版は完全に合わせなければならない。
岩谷はカラーメゾチントのスペシャリストである。